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【私が演劇界に思うこと ②女性の活躍 】

投稿日 2023.6.9

リスナーの皆さん、こんにちは。 北爪美歌です。

今週6月6日(火)・来週6月13日(火) 夕方5時からの放送は、
『2.5次元舞台 変革の時』というテーマでお送りしています。
今回のブログは前回に引き続き、演劇界について、私の持論をお話しします。

今週と来週の放送では、3点に絞って「2.5次元舞台に求められる変化」についてお話ししています。

①演出家や脚本家の変更について
②女性の活躍について
③舞台業界の課題に向き合う俳優たちについて

今回の番組ブログでは、②についてお話しします。
③についてはまた後日お話しします!

では、「②女性の活躍について」、私の考えを共有させてください。
放送内でも取り上げている通り、2.5次元舞台は女性俳優が極端に少ない傾向にあります。これには、演劇の客層の大半が女性客である事・原作となる漫画やアニメに女性キャラクターが少ない事が大きく関わっていると思います。

放送内ではこれを前提とした上で、どうすれば女性俳優の需要と活躍の場を生む事ができるのかに言及しています。
このブログでは、演劇全体の運営体制に言及していきます。

放送内で、「FACTORY GIRLS 〜私が描く物語〜」というミュージカルをご紹介しました。
1840年代のアメリカで、女性の労働環境改革を先導した女性 サラ・バグリー を主人公とした、自由を求め戦う人たちの物語です。
私は、このミュージカルの制作陣に注目しています。なぜなら、ホームページを見る限り、「プロデューサー」「制作」という名前がつく役職についているスタッフは、すべて女性だからです。

意思決定の場に、公演制作の根幹に、女性が多くいる。
これは、とても大きな意味を持ちます。

皆さんは、「想定されていない女性」「存在を消される女性」という考え方をご存知でしょうか?
世界中のあらゆる物事は、男性たちによって設計されてきました。
そのため、世の中には「女性の存在を想定されていない」物事が、まだ多く残っています。

では、意思決定の場に女性がいるか否かでどのような変化が起こるのか。
最も大きいのは、「女性やマイノリティの実態」に目を向ける人の絶対数の変化です。
これにより、議論の幅が大きく広がります。

演劇であれば、以下のような議論が出てくるのではないでしょうか。
「座席配置は身長差を考慮しよう」「階段の段差は高すぎないだろうか」
「女性の人生や出産を題材にしてみよう、そのために取材をしよう」
「女性が本当にときめく人物像はどのようなものだろう」
「女性スタッフがホルモンバランスによる体調不良を起こした場合は?」
「育児・介護・病気。何かがあって誰かがいなくても、現場が回る仕組みを作ろう」
「出演者のインナーは、どのような形にすれば胸部への負担が少なくなるだろう」
「子どもの送り迎えをしてから劇場に足を運ぶお客様にとって、理想の開演時間は?」
「音の聞こえ方や感じ方に性差があるならば、どのような音響プランにしよう」

私個人としては、「努力して知ろうとしても、当事者でなければ想像の及ばない事柄が沢山ある」と思っています。
人の価値観はそれぞれ違いますから、当事者でなければ、当事者の近くにいなければ、本質を理解しない「的外れ」な考え方をしてしまうものだと思います。

それぞれの価値観と、それぞれの正義があるから、人は対立します。
でも、違うからこそ、見えてくるもの、届けられるものが必ずあります。

「違い」を「可能性」にするために、様々な人が発言力や決定権を持つ必要があるのではないでしょうか。
そして、世界中で分断が深まる今、「自分の常識から外れるから」という理由で人と人とを分断しては、生きていけなくなるのではないでしょうか。

言葉を割愛しつつ、私の考えを共有してみましたが、いかがだったでしょうか?
壮大な話のように思えて、私たちの生活そのものでもあるお話しです。
ぜひ、一緒に考えていただける人が増えて欲しいな、と思います。

最後に、先週に引き続き、私が好きなミュージカル 「魔法使いの約束」より、お気に入りの歌詞を引用します。
またエンタメの世界でお会いしましょう!


見える景色が違うからこそ 隣にいる意味がある
みんな違うから 前も後ろも右も左も 上も下も斜めも全部全部
見渡すことができる
(舞台『魔法使いの約束』第2章 ♪終わりの見えない終章 より)